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石川フィルハーモニー交響楽団は石川県金沢市で活動しているアマチュアオーケストラです。
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音楽コラム

    Vol.4 「アンサンブル」

    2007/08/29

    1st Vnの出口です。今回は弦楽器を題材としてアンサンブルについて考えていきたいと思います。

    1.他の楽器と合わせる前に(音色の話)
     前々回のコラム(Vol.2「和音の話」)ではきれいなハーモニーを作るためには音程だけでなく音色も大事だと書かれていました。弦楽器の場合、弓のコントロールがそのまま音色に現れてきます。弓をうまくコントロールできていない場合、以下のような音になってしまうことがあります。

    (A) 弓の圧力をかけすぎて音が潰れてしまう
    (B) 弓の速度・圧力がコントロールができず音量(音の密度)が安定しない
    (C) 音の立ち上がりが遅く、弓を返す瞬間に減衰する(さつまいものような形の音)

    これらは主に右手のテクニックの問題なのですが、実はアンサンブルとも密接に関わっています。右手のテクニックは音の発音・密度・スピード感・音量などに影響します。他の楽器と合わせる際には、これらのニュアンスが揃わなければ良い響きが得られません。まずは各自がA~Cのような音を出していないか確認してみてください。特に無意識のうちにCのような音を出しているケースが多いのでご注意ください。
    理想としては「初めから均一な音でスタートし弓先まで抜けないような音」、いわゆる「羊羹をスパッと切ったような音」が基本となります。この安定したボーイングを身につけた後で、その応用としてクレッシェンドやデクレッシェンドのような音量の変化を加えることが可能になるのではないでしょうか。
    というのもクレッシェンドひとつ取ってみても「どのような度合いでクレッシェンドするのか」を考えた上で弓をコントロールしなければならないからです。弓をコントロールできず「出ちゃった音」では、一人一人の音色がバラバラになってしまい結果的にうまく混じり合った音にはなりません。音は「出るもの」ではなく「出すもの」ということをしっかりと認識し、自分の出している音色にこだわりを持ってみてはいかがでしょうか。

    2.縦を揃える(リズムの話)
    多くの楽器が様々なリズムを弾いている中、縦をきっちりと揃えるためには各パートが楽譜に書かれたリズムを正確に演奏する必要があります。
    折角ですので12月に演奏予定の第九を例に見ていきましょう。



     



    上に示すのは3楽章99小節目の1st Vnの譜面です。ここは拍子・テンポの変わり目であり、さらに2拍目からは16分音符の細かい動きが始まるためパート内でずれやすい箇所の一つになっています。では、どうすればバラバラにならずに弾くことができるでしょうか。
    練習中に「細かくカウントするように」と注意された経験がある方は多いのではないでしょうか。これは正確なリズムを取る上で非常に重要なことです。例に挙げた小節の場合、指揮者は付点4分音符を1拍で振ることが多いと思いますが、演奏者はそれを3等分して8分音符単位でカウントすることが望まれます。8分音符を基準としてとらえると付点四分音符は8分音符3つ分に、16分音符2つは8分音符1つ分に相当します。1拍を6等分するのは難しくテンポが崩れがちになってしまいますが、細かくカウントした8分音符に2つずつ音を入れれば余裕を持って弾くことができ、その結果テンポも安定するようになります。

    実はこの基準となる8分音符の動き、実際に2nd以下の弦楽器が担当しています。





     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

    スコアを見れば常にどこかのパートが8分音符単位で動いているのがわかりますね。1st Vnは2nd以下の弦楽器がこのような動きをしていることを認識し、これらのパートが刻む8分音符を基準にして音符を並べることで縦を揃えることができます。
    このようにきっちりと縦を揃えるためには雰囲気でなんとなく弾くのではなく、細かい単位で音符を分割し楽譜に示されたリズムを正確に演奏することが必要になってきます。新しい曲に取り組み始める際には、まずは「細かいカウント」に対してどのような譜割りになっているか確認することをお勧めします。

    3.曲の流れについて(メロディーの話)
    前項では縦を揃えるためには細かいカウントをすることが重要だと述べました。一方で、音楽的に歌うためにはテンポを崩すこともあり、「機械的に一定のリズムでカウントしていては旋律と音楽的に合わないのでは?」と疑問に思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。
    ここで一つ注意して頂きたいのは「細かくカウントする=一定の速さで刻む」ではないということです。先ほどの例に戻ってみますと、2nd以下の弦楽器の8分音符は常に一定の速さで刻んでいるわけではなく、1stの旋律に反応して微妙に揺れながら動くことになります。つまり細かいカウントを担当している2nd以下の弦楽器は、融通の利かないメトロノームのようなテンポの取り方ではなく、曲の流れを読み取って柔軟にテンポを伸縮させながら演奏する必要があります。

    これは旋律を弾く立場からの意見ですが、伴奏のテンポが完全に固定されてしまうと歌おうと思っても自由に動けないと感じることがよくあります。逆に曲の流れに柔軟に対応できる伴奏であれば旋律としては自由に動くことができますし、さらに言えばその伴奏によって旋律の動きを上手く引き出してくれることさえあります。
    そう考えると曲の流れというのは旋律だけが作るものではなく、むしろ伴奏が担当している細かいカウントの揺れ具合によって決まってくるのではないでしょうか。つまり旋律が伴奏を引っ張っていくのではなく、伴奏が旋律の歌いやすい基盤を作った上で旋律はその流れに乗って自然に歌う。そして旋律もただ流れに乗るだけではなく、時には伴奏を引っ張って動きを加える。このように旋律・伴奏を担当しているそれぞれのパートがお互いに刺激し合って一つの流れが作れたら素晴らしい音楽になると思いませんか?

    4.まとめ(良いアンサンブルをするために)
    これまでに音色・リズム・メロディーの順に説明してきました。私はアンサンブルをする時にはこの順番に作っていくべきだと思っています。特に音色・リズムに関しては個人練習の占める割合が多く、全体で合わせる前にある程度基礎を固めておく必要があります。
    そして正確なリズムを取る上で私が重要視しているのが「細かいカウント」です。まずはこの「細かいカウント」に対してどのような譜割りになっているかを把握し、正確なリズムで演奏できるようにしましょう。合奏になると、この「細かいカウント」にも曲の流れによって多少の揺らぎが発生します。演奏者全員が曲全体の流れを共有して「細かいカウント」の揺らぎを同じように感じ、さらに各パートがその揺らいでいる「細かいカウント」に対して正確なリズムで演奏する。このような合わせ方をすることで、揺れたテンポの中でも縦がずれることなく合わせられるのではないでしょうか。

    今回、私が実践しているアンサンブルのコツを紹介しました。コツというのは人それぞれ捉え方が異なるため、これが正解というものはありません。従って、今回の内容をそのまま受け入れるのではなく、自分なりのコツを掴むための参考にして頂ければと思っています。みなさんも機会があれば「普段自分が何を考えながら演奏しているのか?」について確認してみてはいかがでしょうか。

    Vol.3 「イメージ」

    2007/06/22

        
      今回コラムを担当させて頂くこととなった1st Vnの出口です。
    「オーケストラと少年少女」ではコンサートマスターを任されることとなり、期待と不安が入り交じった気持ちで本番までの日々を過ごしております。私自身、コンマスは初めての経験なので色々とご迷惑をおかけすると思いますがよろしくお願い致します。

     さて、今回のコラムですが「イメージ」をテーマに取り上げさせて頂きます。
    楽譜の中には基本的に以下の情報が記されています。

    【テンポ】 最初のテンポ設定、rit.やaccel.などのテンポ変化を表す記号など。
    【音符・休符】 4分音符・4分休符など。
    【強弱】 フォルテ、ピアノ、クレッシェンドやデクレッシェンドなど。
    【表情記号】 スタッカート、テヌート、アクセントなど。

     作曲家はこれらの限られたツールを用いて自分のイメージを楽譜におこしているため、細かいニュアンスを表現するには限界があります。4分音符ひとつ取ってみても、
    ●音符を拍いっぱい伸ばすのか、少し短めに歯切れよく弾くのか
    ●伸ばす時は自然に減衰するのか、音を保つのか
    など、演奏者が意識しなければならないことが多くあります。このように楽譜の中には演奏に必要な情報が全て書かれているわけではなく、演奏者が足りない部分を補っていかなければなりません。その時に必要となるのが「イメージ」だと私は思っています。
     「イメージ」と聞くと抽象的で何となく難しく感じるかもしれませんが、簡単に言うと「こんな感じで弾きたい」という意識を持つことです。「こんな感じ」のニュアンスを揃えることができれば自ずと音の長さや処理の仕方も揃ってくるのではないでしょうか?

    ここで例として、ある練習風景を思い浮かべてみましょう。
    オケの練習中指揮者が一度曲を止めて
    「ここの4分音符はもう少し短めにして下さい。」
    と指示を出したとします。Aさんは短めと言われたので
    「短めかぁ、これぐらいかな?」
    とさっきより短い音で演奏しました。
    「長さはそれぐらいでいいのですが、スピード感が足りませんね」
    と、また止められてしまいました。

    さて、この状況は何が悪かったのでしょう?
    指揮者の「もう少し短めに」という指示は自分のイメージを理解してもらうためのヒントにすぎません。一方、Aさんは「指揮者の指示を守ること」が目的となってしまっており、求められている音をイメージせずに文字通り「短い音で」演奏してしまいました。このようなすれ違いは意外と多く起こっているのではないでしょうか?
    指揮者から指示があった場合にはそれを文字通り受け取るだけでなく、どのような音が求められているかを想像しながら演奏することが大切だと思います。

    最後に…
    私自身の練習への取り組み方を紹介したいと思います。少しでも参考にして頂ければ幸いです。

    【事前準備】
    まず、楽器を持つ前にCDを聴きながら曲の雰囲気を覚え、音の長さなどのイメージを作っておきます。テクニック的に演奏が困難な箇所であっても、少なくとも口では歌えるようにイメージ作りをしています。
    (「口で歌えないのに楽器で上手く弾けるはずがない」というのが私の考えなのですが、みなさんはいかがですか?)

    【全体練習】
    以上のように事前にイメージをしっかり作った上で全体練習に臨みます。感性には個人差があるとは言え、出来上がったイメージは基本的に8割程度は同じような方向性になっているはずです。従って、これだけ準備をしておけば全体練習では「残りの2割」のイメージを修正することに集中すれば良いことになります。

    一人一人がしっかりとしたイメージを持ち、その個々のイメージを全体練習で微調整しながら方向性を揃えていく。このような流れが効率的な練習をするために重要だと思います。また、早い段階でイメージの方向性が揃ってくればその分だけアンサンブルに費やせる時間が増え、結果的に曲の完成度を高めることができるのではないでしょうか。
    本番までの限られた練習一回一回を効率的に活用し、7月22日には素晴らしいコンサートを開けることを楽しみにしております。

    Vol.2 「和音の話」

    2007/02/06

    今回は、和音の話です。音楽の3要素を「メロディ」「リズム」「ハーモニー(和音)」とよく言いますが、元来チューバ吹きである私のDNAは「ハーモニー」「リズム」「メロディ」の順に敏感です。普段の練習でもその傾向があることは団員の皆さんも感づいておられるかもしれませんね。ハーモニーの土台を支えているのは自分だ!という揺るぎない自負がチューバ吹きにはあるようです。
    さてこの「和音」は実に不思議な力を持っています。音が二つ(以上)集まる事によって「1+1=2」以上の広がりが出て、ピッタリハモッた時には琴線にビンビン触れるというか何とも言えない快感を伴うものです。その感覚をまだ経験したことのないあなたは音楽の楽しみ方を一つ知らずにいるということで、実に勿体無い話です。
    ちょっと前置きが長くなりましたが、「ハモる」とはどういうことなのか、冷静に物理学的な意味合いから考えてみます。例えば、ある高さの音(下図の青色)に対して別の高さの音(ピンク)を重ねた時に、左のように周期が何回かに一回規則的に同じところで出会うのが「ハモッた」状態です。これに対して右図では微妙に周期がズレているため、同じところで出会えません。この状態では二つの音は「ハモる」ことができません。

       

    これを換言すると、二つの音の振動数の比率が1:2とか4:5とか整数の場合には左のようにどこかで必ず出会うことになりますから「ハモる」関係にあると言えます。そして、二つの音の関係と「ハモる」ための振動数の比率は、オクターブなど代表的な関係においては下の表のようにごく単純な数値で表されることがわかっています。これを実現したのが「純正調」です。

    音の関係 振動数の関係
    オクターブ 1:2
    完全五度 2:3
    完全四度 3:4
    長三度 4:5

    一方、よく知られているとおり音階にはもう一つ「平均率」というのが存在しますが、「平均率」の世界ではオクターブを除いて絶対にハモることはありません。なぜなら、振動数の関係が上の表のようにきれいな数値ではないためです(右側の図のような状態になる)。
    一オクターブは12の半音に分割されますが、平均率により区切っていった場合の数値と純正調とを比較すると次の表のようになります。

    平均率 音階 関係 純正調
    2.0000 Do オクターブ 2.000(=2/1)
    1.8877 Si / /
    1.7817 La / /
    1.6818 / / /
    1.5874 / / /
    1.4983 So 完全五度 1.500(=3/2)
    1.4142 / / /
    1.3348 Fa 完全四度 1.333(=4/3)
    1.2599 Mi 長三度 1.250(=5/4)
    1.1892 / / /
    1.2225 Re / /
    1.0595 / / /
    1.0000 Do 基音 1.000

    この表からわかることは、例えば完全五度(ドとソの関係)の場合には平均率が1.4983なのに対して純正調は1.500です。つまり平均率による音程に対し両者の間隔を若干広く(ソを若干高めに)とらないと「ハモって」くれないわけです。同様に、長三度(ドとミ)の場合にはミを若干低めにとらないと「ハモり」ません。練習の時によく「第三音(ドミソのミのこと)は低めにとること」などと言っていることの背景にはこのような物理学的な意味があるわけです。この関係をよく理解してハーモニーを作るように心がけて欲しいと思います。もちろん、音程のとり方はケースによって変わることもありますが、大部分はこの「純正調」の考え方をベースにします。

    和音に関して注意すべきポイントがあと二つあります。それは「音色」と「音量のバランス」です。どんなに正しい(純正調の)音程を実現しても、音色が楽器本来のものでないと「ハモる」のは非常に難しくなります。美しくないものどうしを混ぜてもそこから美しいものができるはずはありませんね。また、「ド>ソ>ミ」の音量バランスが崩れてしまうとこれまた良い響きがしません(例えばミの音が大きすぎると暑苦しく感じます)。
    こういった点も踏まえ、今自分の出している音は全体のハーモニーの中でどんな位置付けなのか(何調の和音の第何音を担っているのか)を常に考えながら、それに相応しい音作りをすることが大切です。そして、そういった感覚を磨くのに効果的なのが「アンサンブル」です。弦楽四重奏、木管八重奏、金管五重奏、などなどアンサンブルの形態は数多く、素晴らしい曲が世の中には無数にあると言っても良いでしょう。日頃からアンサンブル活動をおこなっていれば、前述した音程のことも含め「周りと合わせる」という演奏者にとって最も基本的かつ重要な感覚を飛躍的に向上させることが出来ます。「オーケストラは小さなアンサンブルの集合体である」ということを実感・実践するためにもアンサンブルに取り組んでみては如何でしょうか。

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